2026年04月17日
【麗澤瑞浪中学・高等学校監修記事】
あなたの身の回りにあるモノやデザイン、実は「誰でも使いやすくなる工夫」が隠れているかもしれません。
シャンプーボトルのギザギザ、牛乳パックのくぼみ、駅の点字ブロック。これらはすべて「ユニバーサルデザイン」と呼ばれる考え方に基づいています。
ユニバーサルデザインとは、年齢・性別・障害の有無にかかわらず、最初から誰もが使いやすいように設計するという考え方です。
この記事では、ユニバーサルデザインの意味・7原則・バリアフリーとの違いから、家の中・街・学校の中にある具体例まで、麗澤瑞浪の視点も交えてわかりやすく解説します。
ユニバーサルデザインとは、年齢・性別・障害の有無・国籍などにかかわらず、あらゆる人が使いやすいと感じるよう設計された製品・空間・環境のことです。
英語では「Universal Design」、略して「UD」とも呼ばれます。
ユニバーサルデザインは、1985年にアメリカの建築家・デザイナーであるロナルド・メイスによって提唱されました。
メイス自身が車いすユーザーであったことから、「障害のある人のために特別に設計する」のではなく、「最初から誰もが使えるように設計する」という発想の転換を打ち出しました。
この考え方の出発点にあるのは、「すべての人が人生のある時点で何らかの制約を経験する」という視点です。視覚・聴覚・肢体などさまざまな障害がある人はもちろん、骨折などで一時的に動きが制限される人、言葉のわからない国を訪れた人も、生活の中で障壁を感じることがあります。
ユニバーサルデザインは「かわいそうな人を助ける」という発想ではなく、「多様な人が気持ちよく使えるように最初から設計する」という考え方です。そこに、特定の誰かを特別扱いするという視点はありません。
「ユニバーサル(Universal)」には「普遍的な」「すべての」という意味があります。
特定の人だけでなく、あらゆる人が対象であることが、この考え方の核心です。
ユニバーサルデザインと混同されやすい言葉に「バリアフリー」があります。
2つの違いは「誰を対象にするか」と「いつ設計するか」の2点で考えます。
バリアフリーとは、障害者・高齢者など特定の人の障壁を後から取り除く考え方です。
| バリアフリー | ユニバーサルデザイン | |
|---|---|---|
| 対象 | 障害者・高齢者など特定の人 | あらゆる人 |
| タイミング | 後から障壁を取り除く | 最初から誰でも使えるよう設計する |
| 例 | 段差のある建物にスロープを後付けする | 最初から段差をつくらない設計にする |
たとえば、段差のある建物にスロープを後から設置するのがバリアフリーです。
一方ユニバーサルデザインは、最初から段差をつくらない設計にすることです。
障害のある人だけでなく、高齢者・ベビーカーを使う人・けがをした人など、あらゆる人にとって使いやすい状態を最初から実現しようとします。
バリアフリーが「特定の人が困らないようにする」発想であるのに対し、ユニバーサルデザインは「誰もが最初から使いやすい」発想という違いがあります。
バリアフリーは「後から障壁を取り除く」対応です。
以下はその代表的な例です。
ユニバーサルデザインが「最初から誰でも使える設計」を目指すのに対し、バリアフリーは「今ある障壁に対して柔軟に対応する」力でもあります。
どちらも「誰もが安心して過ごせる環境をつくる」という点では同じ方向を向いています。
ユニバーサルデザインには、ロナルド・メイスらが提唱した「7つの原則」があります。
ユニバーサルデザインには、ロナルド・メイスらが提唱した「7つの原則」があります。製品や環境を設計する際の指針として、世界中で活用されている原則です。
原則1:誰にでも公平に利用できること
原則2:使う上で自由度が高いこと
原則3:使い方が簡単ですぐわかること
原則4:必要な情報がすぐに理解できること
原則5:うっかりミスや危険につながらないデザインであること(安全性)
原則6:無理な姿勢をとることなく、少ない力でも楽に使用できること
原則7:アクセスしやすいスペースと大きさを確保すること
引用:The Center for Universal Design, NC州立大学「ユニバーサルデザイン7原則 Version 2.0」(1997年)
年齢・能力・障害の有無にかかわらず、誰もが同じように使えて、手に入れやすいデザインです。
特定の人だけが使いやすい状態ではなく、すべての人にとって平等であることが重要です。
例:自動ドア、段差のないスロープ
右利き・左利きや利用者の習慣に関係なく、自分に合った方法で使えるデザインです。
使い方を「ひとつ」に限定しないことがポイントです。
例:さまざまな状況に合わせて使えるトイレの表示、左右両用ハサミ・タッチ操作と音声操作の両方に対応したスマートフォン
経験や知識、言語能力に関係なく、直感的に使い方がわかるデザインです。
説明書がなくても操作できることが理想です。
例:ワンタッチボタン、ワンタッチで開く折りたたみ傘
視覚・聴覚など感覚の違いに関係なく、必要な情報が届くデザインです。
文字・絵・音(音声案内)など複数の方法で情報を伝えます。
例:ピクトグラム表示、UDフォント、多言語表記のサイン
意図しない操作をしても、危険や大きなミスにつながらないデザインです。
間違えにくく、間違えても安全なつくりを目指します。
例:子ども用の先が丸いハサミ・マグネット式電源コード(MagSafe)、誤操作防止の確認画面(本当に削除しますか表示)
自然な姿勢で、少ない力でも疲れずに使えるデザインです。
体への負担を最小限にすることを重視しています。
例:レバー式ドアノブ・センサー式蛇口・軽力型ホッチキス
どんな体格・姿勢・移動能力の人でも、手が届いて使いやすいスペースが確保されているデザインです。
例:車いすでも使える広さの多目的トイレ、低い位置にも設置されたATM
ユニバーサルデザインは、特別な場所にあるものではありません。
学校・家・街・日常のモノの中に、すでにたくさんの工夫が隠れています。
「これもUDだったんだ!」という気づきを、場所ごとに見ていきましょう。
学校の中にも、多くのユニバーサルデザインが取り入れられています。
普段何気なく使っているものの中に、さまざまな工夫が隠れています。
家の中にも、日常的に使っているものにユニバーサルデザインの工夫が隠れています。
「なぜこんな形なんだろう?」と思っていたものが、実は誰かのための配慮だったと気づくはずです。
街を歩いていると、至るところにユニバーサルデザインの工夫があります。
普段意識せずに使っているものが、実は多くの人に配慮して設計されています。
「これもユニバーサルデザインなの?」と驚くような、意外な例もあります。
日常的に使っているモノの中に隠れた工夫を探してみましょう。
ユニバーサルデザインは素晴らしい考え方ですが、課題もあります。
| メリット | デメリット・課題 |
|---|---|
| 誰もが使いやすくなる | すべての人に最適とは限らない |
| 多くの人にとって便利になる | デザインの自由度が制約される |
| ストレスや負担が減る | 普及・理解が十分ではない |
| 社会参加の機会が広がる | コストが上がる場合がある |
メリットだけでなく、デメリットや現実的な問題点も正直に理解することで、より深く考えることができるでしょう。
ユニバーサルデザインは、製品や建物の設計だけでなく、「学校のあり方」にも深く関わっています。
麗澤瑞浪中学・高等学校では現在、ユニバーサルデザインの視点を授業や学校環境に取り入れる取り組みを検討しています。
文部科学省は「ユニバーサルデザインの視点を取り入れた授業づくりハンドブック」を発行しており、すべての子どもが「分かる!」「できる!」を実感できる授業の土台づくりを推進しています。
具体的には次のような工夫がUDの視点として挙げられています。
※参考:文部科学省「ユニバーサルデザインの視点を取り入れた『分かる!』『できる!』学校全体で取り組む授業の土台づくりハンドブック」
ユニバーサルデザインというと、スロープやエレベーターといった施設・設備をイメージする人が多いかもしれません。しかし、授業の進め方や教え方、人との関わり方もUDの視点に含まれます。
麗澤瑞浪中学・高等学校では、国際生を含む多様な背景を持つ生徒が共に学び、生活しています。異なる文化や価値観を持つ仲間と日常を共にする中で、「相手に伝わるか」「相手の立場から考えられるか」という感覚が自然と育っていきます。
こうした経験は、UDの本質である「誰もが参加できる環境をつくる」という視点を、言葉で学ぶ前に体で身につける機会になっています。
麗澤瑞浪中学・高等学校の探究学習では、社会課題をテーマにした学びを大切にしています。
ユニバーサルデザインは、福祉・まちづくり・テクノロジーなど、さまざまな分野の社会課題と深く関わっています。
「誰もが使いやすいデザインとは何か」「社会からバリアをなくすにはどうすればいいか」という問いを探究のテーマにすることで、身の回りのデザインへの気づきが深まり、社会全体を広い視点で考える力が育ちます。
ユニバーサルデザインはSDGsの「目標4:質の高い教育をみんなに」「目標11:住み続けられるまちづくりを」とも深く関わっており、探究学習のテーマとしても注目されています。
2026年4月に新設されたアントレプレナーシップコースでは、こうした社会課題への実践的なアプローチをさらに深める機会が用意されています。
ユニバーサルデザインとは、障害の有無・年齢・性別にかかわらず、最初から誰もが使いやすいように設計するという考え方です。
シャンプーボトルのギザギザ、牛乳パックのくぼみ、ピクトグラム。私たちの身の回りにはすでにたくさんのユニバーサルデザインがあふれています。
大切なのは、「これって誰かへの工夫なんだ」と気づく視点を持つことです。その小さな気づきが、より多くの人が暮らしやすい社会をつくることへの第一歩になります。
ぜひ、日常の中で「これはUDかも?」と探してみてください。学校・街・身の回りのモノの中に、新しい発見があるはずです。
麗澤瑞浪中学・高等学校では、こうした「誰かの立場から考える視点」を探究学習や日常の学びの中で育てています。
「誰かのため」が、「みんなのため」になる学びへ。その環境が、麗澤瑞浪にあります。
ぜひ一度、学校の雰囲気を体感しにきてください。