2026年05月04日
【麗澤瑞浪中学・高等学校監修記事】
「サステナビリティ」という言葉、SDGsやESGとセットでよく耳にするようになりましたが、「ひと言で説明して」と言われると意外と難しい言葉でもあります。
この記事では、サステナビリティの意味・日本語訳・語源から、SDGs・ESG・CSRとの違い、企業の具体的な取り組み事例まで、中学生から社会人まで幅広くわかるようにやさしく解説します。
探究学習やレポートのテーマを探している人にも役立つ内容です。
「サステナビリティ」は近年ビジネスや教育の場で急速に広まった言葉ですが、正確な意味や語源を知っている人は意外と少ないのではないでしょうか。
まずは言葉の成り立ちと基本的な意味から確認しておきましょう。
サステナビリティ(Sustainability)は、ラテン語の「sustinere(支え続ける)」を語源とする英単語です。
読み方はそのままカタカナで「サステナビリティ」。日本語の公式訳は「持続可能性」です。
「サステナブル(sustainable)」という形容詞も同じ語源で、「持続可能な」という意味で使われます。
近年は「サステナブルファッション」「サステナブルな経営」など、さまざまな文脈で目にする機会が増えています。
サステナビリティを一言で言うなら、「将来の世代が必要とするものを損なわずに、現在の世代のニーズを満たすこと」です。
これは1987年、国連の「環境と開発に関する世界委員会(ブルントラント委員会)」が発表した報告書『Our Common Future』の中で示された定義です。(※)
もう少し噛み砕いて言うと、「今の自分たちが地球や社会の資源を使い尽くしてしまわないように、未来の人たちにもきちんと引き継いでいける状態を保つこと」です。
たとえば、森の木を伐採するとき、植林もセットで行うことで森が再生し続ける。魚を獲りすぎず、次世代にも漁業が続けられる環境を守る。こうした考え方がサステナビリティの基本にあります。
「今だけよければいい」ではなく、「未来の人たちの選択肢も守る」という視点が本質です。
サステナビリティは「環境」「社会」「経済」の3つの柱で構成されると考えられています。
この3つはそれぞれ独立したものではなく、互いに深く関わり合っています。
麗澤瑞浪中学・高等学校が大切にしている「人間教育」の視点から見ると、この3つの柱の土台にあるのは「人」です。
環境を守り、社会をよくし、経済を動かすのはすべて人間の意志と行動です。
知識として理解するだけでなく、「自分はどう行動するか」を考える姿勢こそが、真のサステナビリティの学びにつながります。
「サステナビリティ」と「SDGs」はセットで語られることが多いですが、この2つは同じ意味ではありません。
簡単に整理すると、次のように区別できます。
| 項目 | サステナビリティ | SDGs |
|---|---|---|
| 性質 | 目指すべき考え方・状態 | 具体的な国際目標・行動計画 |
| 主体 | 個人・企業・社会・国家すべて | 国連加盟国(193か国) |
| 策定年 | 概念として1987年に定義 | 2015年に国連サミットで採択 |
| 内容 | 持続可能性という概念全体 | 17のゴール・169のターゲット |
サステナビリティが「目的地」だとすれば、SDGsはその目的地に向かうための「地図と行程表」のようなものです。
SDGs(Sustainable Development Goals=持続可能な開発目標)は、2015年の国連サミットで採択された国際目標で、2030年までに達成すべき17のゴールと169のターゲットから構成されています。
「貧困をなくそう」「気候変動に具体的な対策を」「質の高い教育をみんなに」など、世界が共通して取り組むべき課題が網羅されています。
つまり、サステナビリティという大きな考え方を実現するための具体的なアクションプランがSDGsです。SDGsへの取り組みは、サステナビリティの実現に向けた重要な一歩といえます。
ビジネスや就職活動の文脈では、SDGsに加えて「ESG」「CSR」という用語も頻繁に登場します。
それぞれの意味と違いを整理しておきましょう。
ESGとは、企業を評価する際に重視される3つの要素の頭文字を取った言葉です。
ESGはもともと投資家の視点から生まれた概念です。
財務データだけでなく、環境・社会・ガバナンスへの取り組みを評価することで、企業の長期的なリスクと成長可能性を判断する「ESG投資」が世界的に拡大しています。
CSRとは「企業の社会的責任」を意味する言葉です。
企業は利益を追求するだけでなく、社会や環境に対して責任ある行動を取るべきという考え方です。
地域社会への支援活動・環境保護への取り組み・従業員の働きやすい環境づくりなどがCSR活動の代表例として挙げられます。
3つをまとめると、「サステナビリティ」という目標に向かって、企業が「CSR」として責任ある行動を取り、その取り組みを「ESG」という観点で評価・開示する、という関係性です。
| 項目 | サステナビリティ | ESG | CSR |
|---|---|---|---|
| 性質 | 概念・目指すべき状態 | 評価の枠組み(指標) | 企業の行動原則・責任 |
| 主な主体 | 社会全体 | 投資家・企業 | 企業 |
| 視点 | 長期的・地球規模 | 経営・投資判断 | 社会貢献・リスク管理 |
| 目的 | 持続可能な社会の実現 | 企業価値の向上・リスク軽減 | 社会的信頼の構築 |
サステナビリティが世界的に注目されるようになった背景には、地球規模の深刻な課題が積み重なっていることがあります。
産業革命以降、化石燃料の大量消費により温室効果ガスの排出量が急増し、地球の平均気温が上昇し続けています。
異常気象・海面上昇・生態系の変化など、その影響はすでに各地で顕在化しています。
石油・天然ガスなどの化石燃料だけでなく、水・食料・鉱物資源なども有限です。
現在のペースで消費が続けば、将来の世代が必要とする資源が失われてしまうという危機感が高まっています。
世界では今も多くの人が貧困状態に置かれており、教育・医療・安全な水へのアクセスすら十分でない地域が存在します。
経済成長の恩恵が一部に偏り、格差が拡大している状況は、社会の持続可能性を脅かします。
投資家・消費者・従業員など、さまざまなステークホルダーが企業に対してサステナビリティへの取り組みを求めるようになっています。
ESG投資の拡大に伴い、サステナビリティへの配慮が企業価値の向上や長期的な経営の安定にも直結するようになりました。
こうした背景から、サステナビリティはもはや「意識の高い人だけが考えること」ではなく、社会全体・企業・個人が真剣に向き合うべきテーマになっています。
サステナビリティへの取り組みは、大企業だけのものではありません。日常生活の中にも、すでに多くの変化が起きています。
ただし、取り組みをするだけでは不十分です。「実際に環境がよくなっているか」「効果がきちんと伝わっているか」が、消費者にも企業にも問われるようになっています。
コンビニやカフェでプラスチックストローが紙製やバイオマス製に切り替わったのは、海洋プラスチック問題への対応です。毎年数百万トンものプラスチックごみが海に流れ込み、海洋生物の生態系を脅かしているという現実が、こうした変化を後押ししました。
スターバックスは2020年までにプラスチック製ストローを世界中の店舗から廃止する取り組みを進め、国内外で大きな注目を集めました。(出典:スターバックス公式サイト)
こうした動きは飲食店だけにとどまらず、多くの企業が使うエネルギーを再生可能エネルギーに切り替えたり、ごみの排出量を減らしたりする取り組みを進めています。
「社会」の分野では、働く人が長く安心して働き続けられる環境づくりが注目されています。育児休暇を取りやすくしたり、在宅勤務(リモートワーク)を導入したりと、さまざまな人が活躍できる職場をつくることもサステナビリティのひとつです。
地域との関係でも変化が起きています。地元で作られた食材を地元で消費する「地産地消」や、障がいのある人の雇用を積極的に広げる取り組みなど、企業と地域が一緒に発展しようとする動きが広がっています。
私たち消費者も、フェアトレード商品(発展途上国の生産者に正当な報酬が支払われる仕組み)を選んだり、地元の農産物を買ったりする日常の小さな選択が、遠くの生産者の生活を支えることにつながっています。
サステナブルなビジネスとは、「もうけさえすればいい」ではなく、環境や社会への影響を考えながら、長く続けられる事業のあり方を目指すことです。
たとえばユニクロは、着なくなった服を店舗で回収してリサイクルする「RE.UNIQLO」というプログラムを展開しています。服を捨てるのではなく、資源として再び活かす仕組みです。こうした「使い捨てにしない」考え方は「サーキュラーエコノミー(循環型経済)」と呼ばれ、世界中の企業に広がっています。(出典:ユニクロ公式サイト)
また近年は、企業が環境や社会への取り組みをきちんと公開し、その成果を数字で示すことへの要求も高まっています。「言っているだけ」ではなく、「実際に何が変わったか」を示すことが、企業への信頼につながる時代になっています。
サステナビリティは、教科書で意味を覚えるだけでは身につきません。
「問いを立てて、自分で考えて、行動する」というプロセスを通じて初めて、生きた知識になります。
麗澤瑞浪中学・高等学校では、探究学習を通じてサステナビリティを「自分ごと」として捉える機会を大切にしています。
地球環境・貧困・ジェンダー・地域社会といった社会課題をテーマに、生徒が自ら問いを設定し、調査・対話・発表を繰り返す中で、課題解決への視点が育まれます。
たとえば、2026年4月に新設されるアントレプレナーシップコースでは、こうしたサステナビリティの思考をを学び、それを活動の中で活かし、理解を深めていきます。
社会課題を「価値を生み出す起点」として捉え、そのプロセスの中に、サステナビリティの本質である「長期的な視点で社会を考える力」が自然と育まれます。
年間20日までのフィールドワーク公欠を認める柔軟な学習環境と、卒業までに100名を超える社会人との対話の機会が、「知る」から「動く」へのステップを後押しします。
ユニバーサルデザインや抽象的思考との接点にも触れながら、サステナビリティを多角的な視点で学ぶことができるのが麗澤瑞浪中学・高等学校の探究教育の特徴です。
サステナビリティとは、環境・社会・経済の3つのバランスを保ちながら、将来の世代も豊かに生きられる社会を続けていくための考え方です。
SDGsはその実現に向けた具体的な国際目標であり、ESGは企業がその視点で経営を評価される枠組みです。
この言葉は難しく聞こえますが、本質はシンプルです。「今の自分たちの選択が、未来の誰かの選択肢を守るかどうか」という問いに向き合うこと。
麗澤瑞浪中学・高等学校では、この問いを探究学習やアントレプレナーシップコースを通じて実践的に学ぶ機会を大切にしています。教室の中で知識として学ぶだけでなく、フィールドワークや社会人との対話を通じて「自分ならどうするか」を考える力を育てています。
サステナビリティに関心を持った中学生・高校生は、ぜひ学校の雰囲気を体感しにきてください。