麗澤瑞浪中学・高等学校の太鼓部が掲げる5箇条を通じて、全国的な活動と道徳教育の実践を目指す「太鼓部」の魅力について、顧問の栗本明徳先生にインタビューをしました。
栗本先生の指導法、太鼓部の魅力や生徒たちの成長、そして全国総文祭への意気込みを紹介します。
麗澤瑞浪中学・高等学校の太鼓部は、25年の歴史を誇る伝統ある部活動です。私たちの太鼓部は平成11年から始まりました。本校には平成11年まで定時制課程があり、そこで体育祭の応援をよくやっていたんです。その応援の際に、ドラム缶や樽を叩いたりしていました。そこから、井上貞廣元校長の「全国を目指す太鼓部を作ろう」という熱意から、その熱意を受け継ぐ形で太鼓部は始まりました。
実は当時、私が顧問を任された時は右も左もわからず、模造品の太鼓で活動を始めたんです。太鼓のバチもどこに売っているかわからないほどでしたね(笑)。それから25年の月日が経ち、現在では本格的な太鼓を使用し活動しています。部員数も増え、たくさんの人の力を借りながら成長していきました。
太鼓部は入学式で演奏したり、ホールを借りて定期演奏会をしたり、小中学校へ訪問し演奏する機会があります。太鼓に興味がなかった子も、その迫力とかっこよさに圧倒されていて、憧れを持ってくれることが多いんです。太鼓部へ入部してくるきっかけは、やはり生の演奏を観てくれた子達が多いですね。躍動感溢れる太鼓部の演奏を観てくれた子達が「すごくかっこいい!自分も目指したい」と入部してきます。多い年は60人近くの部員と一緒に活動することもありましたね。自分が顧問になってから25年はあっという間でしたが、生徒と一緒に努力を続け経験を積み重ねていったことで、さまざまな大会や演奏の機会を持てるようになるまで成長しました。これからも代々引き継がれていく太鼓部となるよう基盤を作り続けていきたいと思います。
2024年度、現在の太鼓部の部員数は約50名です。中学生から高校生まで生徒みんな一丸となって活動しています。月に1〜2回、年間で約15回の演奏会を行い、地域のイベントや全国大会にも積極的に参加しているとてもアクティブな部です。
太鼓部の魅力は、音楽を自分たちで作っていく楽しさだけでなく、道徳教育を重視した指導方針にもあるんです。太鼓部の活動は、単に太鼓の技術を磨くだけではありません。私たちは音楽を通じて協力し合い、お互いを思いやり、助け合うことの大切さを学びます。演奏は部員全体の調和が求められ、一人ひとりの努力が全体の音を作り上げます。この過程で生徒たちは、壁にぶつかりながらも仲間との絆を深め、人間としての成長を遂げていくんですね。
一度部活動に参加すると、その魅力に引き込まれる生徒が多いのですが、最初の一歩を踏み出すきっかけを作るのが難しいと感じています。しかし、太鼓部の良いところは良くも悪くもみんな初心者。経験者もいますが、9割の生徒がスタートラインが同じなんです。これがすごくいい。一から挑戦することで、さまざまな学びの場になると思います。ぜひおすすめしたい部活ですね。僕がもう1回中学生からやるんだったら絶対にうちの太鼓部に入りたいと思うほどです(笑)。
麗澤瑞浪太鼓部の活動は、単なる音楽活動にとどまりません。私達の学校の部活でも授業でも、寮教育でも、全ての根底にあった道徳教育があるので、そこに繋がってますね。私たちは「音楽集団」としての誇りを持ち、音を大切にしています。見た目を重視するチームも多い中で、私たちは音楽そのものの魅力を追求しているんです。
特に、私たちが掲げる「太鼓部5箇条」は、生徒たちが日々の活動で道徳心を育て意識するための大切な指針です。簡単に紹介しますね。
① 私達は「音楽集団」です。:私たちは和太鼓を「音楽」として捉え、派手なパフォーマンスよりも協力して作り出す音楽の良さを追求しています。
② 物を大切にします。:太鼓や道具は多くの人々の努力や思いが詰まった大切なものです。これを通じて、作り手や先輩たちの心を尊重し、大切にしています。
③ 人との協力を大切にします。:演奏は部員全体の協力と調和で成り立つと考え、日常から助け合いを大切にしています。
④ 日本の伝統や文化を大切にします。:太鼓は日本独自の文化であり、先人たちの思いを受け継ぐため、太鼓を通じて日本の伝統と文化を大切にしています。
⑤ 感謝の気持ちを大切にします。:太鼓部は多くの応援に支えられて成り立っています。応援してくれる人々に常に感謝の気持ちを持ち、それに応える努力を続けます。
この5箇条を通じて、道徳教育と太鼓っていうのはやっぱりすごく同じ方向を向きやすく、繋がりやすいなと思いますね。演奏するにも、私達が舞台に立てるのはスタッフさんがいるおかげだから、スタッフさんに必ず挨拶していこうとか、演奏会が終わったときに楽屋を必ず掃除して帰ろうとか、そういうところですね。自分たちが、演奏させていただいているのは誰のおかげなのか、そういうことはすごく意識しやすいなと感じます。
麗澤瑞浪中学・高等学校の太鼓部には、2つの全国大会があります。1つは、文化系の部活のインターハイとも言われる全国高等学校総合文化祭(総文祭)、もう1つは日本太鼓財団主催の日本太鼓ジュニアコンクールです。
太鼓部はこれまでに総文祭に2回出場し、今年で3回目の出場を果たします。また、日本太鼓ジュニアコンクールにはこれまで2回出場させていただきました。これらの全国大会は、生徒たちにとって大きな目標であり、日々の努力の成果を発揮する場でもあります。全国大会への出場は、技術だけでなく精神的な成長も促します。
麗澤瑞浪中学・高等学校の太鼓部が他校と異なる最大の特徴は、「道徳教育の実践」にあります。私たちは技術の向上だけでなく、生徒の内面的な成長にも力を入れています。部活動を通じて、生徒たちは互いに支え合い、助け合うことの大切さを学びます。これは、将来社会に出てからも役立つ重要なスキルです。
そんな太鼓部の活動を通じて、生徒たちは技術だけでなく人間としての成長も遂げているのが見て取れます。生徒たちは音楽を通じて自己を表現し、仲間と協力することの大切さを学ぶことができるようになるんです。部員たちは、人に喜んでもらうことを喜びと感じる心を持ち、演奏会にきてくれる観客の方たちの笑顔や感動のためにみんなが努力していますね。
全国総文祭や日本太鼓ジュニアコンクールへの挑戦は、生徒たちにとって技術と心の両方を高める貴重な経験となっています。
麗澤瑞浪中学・高等学校の太鼓部は、全国的な実績と道徳教育の実践を両立させた部活動です。私たちの目指すものは、音楽を通じた心の成長であり、全国大会という大舞台に挑むことで、生徒たちは自分たちの限界を超えて成長していきます。これらの取り組みを通じて、太鼓部の魅力を伝え、多くの生徒に太鼓の楽しさを知ってもらうことが私の目標です。
麗澤瑞浪中学・高等学校の太鼓部は、音楽と道徳教育を融合させた独自の活動を展開しており、生徒たちの内面と技術の両面での成長を支えています。今後も、新たな部員を迎え入れ、共に音楽を作り上げる喜びを感じられるよう、努力を続けていきます。
太鼓部の魅力や麗澤瑞浪中学・高等学校の特色を知り、部活動を通じて成長したい生徒や保護者の皆様に、その魅力を伝えることができれば幸いです。太鼓部の演奏を聞いて、その魅力をぜひ直接感じてください。