2024年10月09日
麗澤瑞浪中学・高等学校の寮チューターである加藤昇一先生と、寮務の内田征宏さん、内田梨沙さんにインタビュー。寮生活を通して得られるメリット、貴重な経験や学びについて、「第二の家族」として生徒たちを支え、成長を見守り、安心して生活できる環境をどのように提供しているかを語ってくれました。
この記事では、寮生活に不安を感じている生徒や保護者の方々に向けて、寮という選択肢の魅力とその影響力について紹介していきます。
加藤昇一先生:私は中学男子寮のチューターを務めています。チューターの主な仕事は、寮生活の生徒の指導ですね。私の一日は、早朝6時半の点呼から始まります。点呼が終わると、生徒たちと朝礼を行い、その後各個室の掃除を確認します。これが終わると、生徒たちを学校へ見送り、学校での業務に移ります。夕方には自習監督を行い、夜は夕礼を経て消灯までの寮内の見回りを担当。週7日体制ですが、他の先生とシフトを組んで交代で担当しています。このように、日々の生活の中で生徒たちの成長を見守り、彼らの生活を支えるのが私たちチューターの役目です。
内田征宏さん:私は寮務として、生活備品の調達や修理、消耗品の配布、病院送迎などを担当しています。寮務は学校で例えるならば、「用務員さん」のような役割ですね。生徒たちが困ったときになるべく早く対応できるよう、常に準備をしています。病院送迎というのはちょっと特殊な業務かもしれません。特に親御さんにとって、遠く離れた場所で自分の子供が病気やケガをした際に、信頼できるサポートがあることは大きな安心材料ですよね。
内田梨沙さん:私も寮務として、生徒が快適に安心して過ごせるよう裏方で支える仕事をしています。体調を崩した生徒がいれば、寮に食事を届け、本人の体調確認をして、チューターの先生に報告、その後病院が必要な生徒は病院に同行しますね。内科から外科、眼科、歯科まで幅広く対応し、生徒たちの健康管理をサポートしています。こういったサポートが生徒たちはもちろん、その保護者の方々にも安心していただけるのかなと。
内田征宏さん:さまざまな寮の生徒と関わる中で、生徒の個々の悩みにも直面します。気軽な愚痴程度なものから、深刻な悩みまで。そんな時は周囲の生徒におこった事象も含めて情報を収集し、教職員で共有するよう心がけています。誰から相談を受けたとは言わず、「偶然現場に遭遇して見かけたけど大丈夫? 」という風に装う時も。生徒一人ひとりの背景や状況を把握しながら、対応を心がけています。
内田梨沙さん:寮務の私たちは、先生とは違う視点で生徒たちと関わります。寮務の私たちを身近なおじちゃん、おばちゃんとして信頼してくれていて。例えば、病院送迎中に生徒が先生や親には話しづらいことを私たちに話してくれることがあります。そうした情報を適切に先生方に共有し、生徒の悩みや問題をサポートし解決に導いてあげるのが私たち寮務の役割だと思っています。
加藤昇一先生:私たちチューターや寮務の先生たちは、生徒たちにとって身近な存在であり、彼らの悩みや問題にいつでも対応できるよう心がけています。特に、学校で起こったことや日々の悩みは私たちが相談相手となり、生徒たちが安心して学校や寮生活ができるよう努めています。寮生活を通じて築かれるチューターの先生や寮務の方達への親しみやすさは、学校全体への信頼感や安心感にもつながっているんじゃないかと思っています。
内田梨沙さん:ある時、自分勝手で部屋を汚くしがちな男の子がいたんです。時には厳しく指導することもあります。その子のお母様から「なぜうちの子だけ強くいうのか」とお言葉をいただくこともありました。しかし、彼が卒業するころには、自分で部屋を綺麗に保ち、自力で大学に合格したんですね。その子のお母様からは感謝の連絡が今も続いており、良い関係が築けていたことが本当に嬉しく思います。寮生活を通じて生徒たちが成長し、保護者とも良好な関係を築けることが寮務のやりがいです。
内田征宏さん:数年前、寮生活が苦しいからという理由で途中で退寮した生徒がいました。退寮前の1ヶ月間、彼はそれまでとは比べ物にならないほど生活をきちんとするようになっていたんです。その子が退寮前に、「自由を手に入れる代わりにここで学ぶ大切なものを失おうとしているのかもしれません。」と言い残したのが印象的でしたね。彼は確かに苦しかったのかもしれませんが、残された寮で過ごした日々がいかに彼にとって充実したものだったのかを実感しました。ただ、その子と一緒に生活をし卒業する退寮日にその言葉を言わせてあげられなかった。それはもう今でもすごく悔しいですね。
内田梨沙さん:私は生徒一人一人の家庭環境にも気をつけて接するようにしていますね。みんなが同じ環境なわけじゃない。入学入寮するときに、家庭環境をできるだけチェックして「傷つかない寮」ということをすごく大切にしています。
加藤昇一先生:卒業後に学校に先生として戻ってきてくれる生徒もいるんですよ。「今、先生として頑張っています」と報告してくれるんです。私も6年間寮生活の経験があるので分かりますが、寮生活では人間関係に悩んだり、先生に反発したり、苦しいことも多かったはずなんです。それでも瑞浪に先生として戻ってきてくれた。そんな時、自分の指導が間違っていなかったとやりがいを感じます。寮で過ごす6年間を通じて、生徒たちが成長し、その後の人生で成功している姿を見るのは、私にとって大きな喜びですね。
内田征宏さん:ホームシックって、寮生みんな経験するんですよ。でも、それをネガティブに捉えるのではなくて、ホームシックは親や家族から一心に愛情を受けた証拠であり、楽しい時間や友達との思い出があった証なんです。要は、「帰れる場所がある」っていう、いかに幸せな人生を送ってきたかの証明なんです。だから、ホームシックを恥じることはないんですよ。素晴らしい人生を送ってきたからホームシックになるんだよ、といつも生徒たちに伝えています。辛くなるたびに家に帰っていたら、楽しい人と楽しい時間との別れの回数が増えるだけです。だから決められた帰省日までは必ず寮で過ごし、学校生活も頑張ってみようよと伝えています。
内田梨沙さん:ホームシックは、親の愛情を感じる機会でもあります。親元を離れて生活することで、自分のそばに親がいないことの不安や、親の存在がいかに大切かを初めて実感するんです。これが寮生活の中で親子関係を見直し、強化するきっかけになることもあります。
加藤昇一先生:親御さんたちの中には、寮で生活させることに不安や寂しさを感じている人は多いと思います。しかし生徒たちは親との距離ができることで、初めて親の存在の重要さに気がつきます。親元を離れ不安を乗り越える過程で、親のありがたみを感じ、恩恵を理解するんです。この経験を中高生のうちに得ることは、将来的な親孝行につながると考えています。これが、寮生活の一つの大きな学びであり、成長の一環だと思います。
加藤昇一先生:寮生活を経験することで、生徒たちは「第二の家族」のような信頼と絆を築き、社会性や協調性を学びます。寮は、単なる住まいではなく、彼らの成長を支える重要な場所です。卒業後も、生徒たちが訪れて近況を報告してくれることは、私たちにとって何よりの励みです。寮での経験を通じて、生徒たちは多くのことを学び、それが彼らの将来に大きな影響を与えることを感じています。
内田征宏さん:寮は、社会の縮図です。寮生活を通じて、生徒たちは多様な人々との関わり方を学び、将来に備えることができます。例えば、上下関係やコミュニケーションの取り方、トラブルの対処法などを経験し、社会で必要とされるスキルを自然と身につけることができます。
内田梨沙さん:親元を離れて生活することで、自立心や責任感が身につきます。また、寮では異なるバックグラウンドや家庭環境を持つ生徒たちと生活を共にすることで、多様な価値観を理解し、受け入れる力を養うことができるんです。
加藤昇一先生:寮生活では、先輩と後輩が一緒に生活することで、上下関係の大切さやリーダーシップ、フォロワーシップを学ぶ機会が多くあります。これは、将来の社会生活において非常に重要な経験です。例えば、先輩が後輩に対して行う指導や、後輩が先輩に対する尊敬の念を持つことなど、これらの経験は、将来的に職場での人間関係にも役立ちますよね。
加藤昇一先生:親御さんにとって、子供を寮に預けることには不安があるかもしれません。しかし、寮生活を通じて得られる経験は、子供たちの将来にとって大きな財産となるでしょう。麗澤瑞浪中学・高等学校の寮で過ごすことで、生徒たちは自立心や責任感を養い、豊かな人間関係を築くことができます。ぜひ、私たちと一緒にこの素晴らしい環境での生活を考えてみてください。
内田征宏さん:寮生活は、子供たちの成長を支える大切な場所です。寮での生活を通じて、多くのことを学び、成長していく姿を見守ることができるのは、私たちにとっても喜びです。ぜひ、寮生活の楽しさややりがいを感じてみてください。
内田梨沙さん:寮生活は、子供たちにとって貴重な経験です。私たち寮務は、彼らが安心して過ごせるように親しみやすい存在としてサポートしています。ぜひ、私たちと一緒にこの素晴らしい環境での生活を考えてみてくださいね。