また、本校の教職員は毎年夏に2本のレポートを書きます。一つは専門教科に関するもの、もう一つは建学の精神であるモラロジーに関するものです。私はすべてのレポートに目を通します。私の専門は日本史で、理系のレポートなどは専門的過ぎてよく理解できないものもありますが、他教科の先生のレポートは読んでいて面白いです。そんな時実感するのが学校というのはそれぞれに専門を持ったプロの教師が集まっている場所だということです。また、建学の精神についてのレポートを読むと、その先生の年齢やキャリアによって随分違いがあります。先輩方のレポートからは自分自身が学ぶことが多く、勉強になります。私と同世代の中堅の先生は、建学の精神と日々の教育活動をどう結びつけるか、ということを一生懸命考えています。若手の先生は建学の精神であるモラロジーについて真摯に学ぼうという姿勢が見られて頼もしく感じます。
今から思うと、本校にお世話になりはじめた頃の私は本当に未熟な教師でした。その頃お世話になった上司や先輩、生徒の皆さん、保護者の皆さんには随分ご迷惑をおかけしたことと思います。随分温かい目で見守ってくださったおかげで今日の私があります。本当に感謝しています。
私は今、中学男子寮のチューターをしています。家族と共に生徒と過ごしており、ごまかしが利きません。どんなに立派なことを言っても、私が家族とどのように接しているか、生徒にはすぐにわかってしまいます。だからこそ自分の後ろ姿を見せることもできます。
大切なのは、私たち教師自身がより良い生き方を追求して学び続けることだと思います。創立者の廣池千九郎先生は「まず先生自身が助かって」ということを仰っています。生徒にものを教える、というだけでなく「師弟同学」の姿勢で生徒と共に学ぶ。教師の役割は、大人になっても人は学び続けるというモデルを示すことだと思います。まだまだ未熟な点も多いのですが、学び続ける姿勢を示していきたいと思っています。