私は過去に一度だけ、陸上競技をやめようとしたことがあります。それは6年前の事です。2012年は、ロンドンオリンピック(8月)と岐阜国体(10月)が開催される年でした。当時、大学4年生だった私は、5月の世界大会で自己記録を更新し、オリンピックの代表権をかけた最終選考会に日本ランキング1位で挑みました。しかし、結果は準決勝敗退。8位に入賞もできず、代表権を逃しました。岐阜国体では、地元優勝も期待されていた中、8月の選考会でライバル選手に敗れ、本大会にすら出場できませんでした。この結果から、競技はやめ、早く教員になれるよう頑張ろうと考えました。そんな時に地元の高校へ教育実習に行き、学校生活を子ども達と過ごす中で、このままでは何も教えられないと感じました。負けた原因から目をそらし、現実から逃げる自分に腹が立ちました。敗戦を経験し、初めて自分の弱さと甘さ、大切なものに気づきました。そんな時に3年後に国体を控える和歌山県から優勝してほしいとオファーを貰いました。まずは和歌山県のために、何ができるのか、課題をひとつずつクリアして、国体で優勝しよう。それからオリンピック出場を目指そうと思い立ちオファーを受けました。3年後、和歌山国体で優勝することができました。