2013/10/29

一人ひとりの夢の実現をめざして

進路指導部長 鈴木喜八郎

 今でも忘れられない1日がある。3年前の3月10日、休み時間になる度に数人の生徒が担任室に駆け込んできては「東大の結果はどうでしたか」と私を問い詰める。彼らとは学年が異なるのにである。やがて、ついに吉報が舞い込んできた。受験した伊藤匠君と照下真女さんから合格の知らせが担任に届いたのだ。この吉報は、まるで競技場などでよく目にするウエーブのような勢いで広がり、歓喜に沸いた。さらに、前年卒業して東大を目指していた久良智明君からも合格の連絡が入り、学校全体が異様なまでの高揚感に包まれた。この快挙は、今日まで積み重ねてきた生徒の努力と、担任をはじめ多くの教師による粘り強い指導の賜物であり、私も思わず涙ぐんでしまった。何よりもまるで自分のことのように喜んでいる生徒たちのはじける笑顔が実にすばらしいではないか。

本校は「文武両道」を掲げ、全員が部活動を行い、麗明祭などの学校行事にも熱心に取り組んでいる。1人の生徒が「国公立大学合格」と「インターハイ出場」を目標に掲げている者もいる。また、全校生徒の約6割が寮生ということもあり、大半は予備校や塾には通っていない。このような環境のなかで、進学実績は着実に成果をあげているが、その最大の要因は「自学の充実」と「教員の熱意」によるところが大きいであろう。自学センター(図書館)では、毎日20時まで自由に勉強することができるが、部活動が終わった後、夕食までのわずかな時間でもやってきて自習に取り組む生徒が数多く見られる。進学実績の核となっている選抜クラスのなかには強化指定部の生徒もいるが、このような時間をうまく利用する者もある。まさに時間は与えられるものではなく自らつくるものなのだ。また、長期休みにも自主登校期間を設けているが、同じ教室で中学生や高校生が一緒になって黙々と自習に励む姿を見ていると、やや大袈裟かもしれないが感動的ですらある。「自習力のある生徒は伸びる」という信念は揺らがない。さらに、教員の熱意も並大抵ではない。正規の授業以外にも、大学受験を念頭に置いた進学講座が放課後や長期休みに行われているが、担当者の大半は部活動の指導も受け持っており、日々フル稼働である。休暇中は生徒も教師も「午前中は進学講座、午後は部活動」という体制になることが多い。文武両道は何も生徒だけではないのだ。その進学講座であるが、それぞれの担当者が工夫を凝らした手作り感満載の内容である。以前、浪人して予備校に通った生徒が「予備校の授業より麗澤の先生の方がよほど分かりやすい」と話していたが、うなずけるものがある。

本校は、国公立大学や難関私立大学の合格や大学進学だけを念頭においているわけでは決してない。何よりも充実した学校生活を送ってほしいと願っている。多様なニーズに対応するため数多くの選択科目を配しているのもその一環である。日々の授業を通じて、勉強すること、学問を追及することが面白い、楽しいと実感し、その思いの積み重ねた先に、豊かで個性的な一人ひとりの進路が実現するものと確信している。来春もまた生徒たちと共に、歓喜のウエーブを起こしたいものである。

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